遺産分割協議を進めるときのポイントは以下の5つです。
POINT1 相続人が全員参加する
遺産分割協議には「相続人が全員参加」しなければなりません。1人でも欠けると遺産分割協議が無効になってしまいます。
協議を始める前に、被相続人の出生時から亡くなるまでの間のすべての戸籍謄本類を取得し、内容を読み解いて漏れのないように確定しましょう。連絡をとりにくい相続人がいても、省いてはなりません。
POINT2 遺産の範囲を確定させる
遺産の範囲を確定させなければ、遺産分割協議を開始できません。
たとえば以下のような場合、先に遺産の範囲を確定する必要があります。
- 相続人名義の預金があるが、実質的には被相続人の遺産ではないかと疑われる場合
- 被相続人の現金や動産類などの遺産を隠していると疑われる相続人がいる場合
相続財産を調べるときには、プラスの資産だけではなく借金や未払金などの負債も確認しましょう。
POINT3 誰がどの遺産を相続するか確定する
遺産分割協議を行うときには、「誰がどの遺産を相続するのか」を明確にしましょう。
遺産分割協議書に正確に遺産分割方法を書かないと、不動産の相続登記や預貯金の払い戻しなどを受けられなくなる可能性があります。
不動産については全部事項証明書の表題部を引き写しましょう。
預貯金については金融機関名、支店名、口座番号から特定します。
株式の場合には発行会社や株式数を記入しましょう。
POINT4 特に注意を要するケース
遺産分割協議を行うとき、以下のような相続人がいたら注意が必要です。
未成年
未成年とその親が一緒に相続人になる場合、親は未成年を代理して遺産分割協議に参加できません。家庭裁判所で特別代理人を選任する必要があります。
認知症の相続人
認知症が進行して判断能力が失われている相続人がいる場合、本人が遺産分割協議を進められません。家庭裁判所で成年後見人を選任する必要があります。
行方不明の相続人
行方不明の相続人がいる場合、「不在者財産管理人」を選任する必要があります。
ただし行方不明になってから7年が経過していれば失踪宣告を申し立てる方法もあります。
POINT5 合意ができたら遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議を行って相続人全員が合意できたら、合意内容をまとめた遺産分割協議書を作成しましょう。誰がどの遺産を取得するか正確に記載して、相続人が全員実印で署名押印すると完成です。不備があると登記などの相続手続きができません。自信がないときには弁護士までご相談ください。