せっかく遺言書を遺しても、無効になってしまっては意味がありません。
以下で遺言書が無効になりやすいパターンを示しますので、同じ間違いをしないように注意しましょう。
自筆で書かれていない部分がある
自筆証書遺言は、全文を自筆で書かなければなりません。
タイトル、本文、日付、署名押印など、すべての部分を遺言者自身の直筆で書かなければ無効になります。自筆でなくてもよいのは「遺産目録」の部分のみです。
パソコンで書いたり誰かに代筆を依頼したりして、遺言書が無効になるケースがあります。
作成年月日がない遺言書
遺言書には必ず「作成した年月日」を書かねばなりません。
作成年月日も自筆で書く必要があります。
ついつい記載を忘れて遺言書が無効になってしまう事例が少なくありません。
署名押印が抜けている
遺言書には必ず遺言者の「署名押印」が必要です。
遺言書を書き上げた時点で満足してしまい、肝心の署名押印を忘れて無効になってしまうケースもあります。
加除訂正方法が間違っている
遺言書を書き間違えた場合の「削除」「訂正」や書き加えたい場合の「加筆」には、法律上定められた方式があります。正しい方法で加筆訂正をしないと、遺言書全体が無効になってしまう可能性もあります。
たとえば修正液を使ったり適当に二重線を引いて書き直したりしただけでは有効な訂正方法となりません。
加除訂正の方法に自信がなければ、遺言書全体を書き直すのも1つの対処方法です。
誰かが偽造、変造した
遺言書は、当然のことながら遺言者本人が作成しなければなりません。
しかし利害関係を持つ人が遺言書を偽造したり、すでに作成された遺言書を書き換えたりするケースもあります。
偽造、変造された遺言書はもちろん、無効になります。
認知症が進行してから書かれた
遺言書を作成するのには「遺言能力」が必要です。遺言能力とは、遺言の内容や効果を理解するだけの能力をいいます。
遺言能力が欠けた人が遺言書を作成しても、無効になってしまいます。
よくあるのは、ご本人の認知症が進行した後で遺言書が作成されるパターンです。
認知症が進んで遺言内容や遺言による効果がわからなくなった状態で遺言書を書いても、無効になってしまうので注意が必要です。自筆証書遺言の場合だけではなく、公正証書遺言でも無効になる可能性があります。
遺言書が無効になるかどうかが争われると、大きな相続トラブルにつながります。
遺言書を作成するならご本人がお元気なうちに、安全確実な「公正証書遺言」を利用しましょう。
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